■概要
【事件名】「取調べ拒否」Tシャツ没収国家賠償請求訴訟
【裁判所】大阪地裁
【原告】大阪府警羽曳野署に留置された50代男性と弁護人
【被告】大阪府
【請求額】計385万円
【裁判段階】第1回口頭弁論
【争点】Tシャツの使用制限が黙秘権や弁護権、表現の自由などを侵害するか
■提訴
大阪府警の留置施設で「私は取調べを拒否します」と書かれたTシャツの着用を認められなかったとして、50代男性と松本亜土弁護士が2025年7月1日、大阪府に計385万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。
原告側は、Tシャツの使用を制限した府警の対応が、男性の黙秘権や表現の自由、弁護人による弁護活動を侵害したと主張している。
■Tシャツ差し入れの経緯
男性は2024年12月、母親に対する保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕され、大阪府警羽曳野署に留置された。その後、同罪で起訴された。
弁護人は接見した男性の様子などから、取調室でも黙秘を続けるよう助言。しかし男性が黙秘を続けることが難しい状況にあったため、意思を明確に示す手段として「私は取調べを拒否します」と書かれたTシャツを差し入れた。
ところが、男性が留置施設内でTシャツを着用すると、署員からメッセージ性などを理由に使用を制限されたという。
■第1回口頭弁論
2025年10月23日に大阪地裁で第1回口頭弁論が開かれ、保釈中の男性が意見陳述した。
男性は、Tシャツが黙秘を続けるための精神的な支えになっていたと説明。取調室でも黙秘の意思を明確に伝えるために着用したかったと訴えた。
松本弁護士も、Tシャツの使用を認めなかったことで弁護方針が妨げられたと主張した。
■大阪府側の主張
大阪府側は請求棄却を求めた。
同種のTシャツを見た他の留置者から反応や私語が生じたことなどを挙げ、からかいや私語を誘発して施設内の秩序維持に支障が生じるおそれがあったと説明。
刑事収容施設法が認める規律・秩序維持のための制限にあたり、府警側の対応は適法だったと反論した。
■「取調べ拒否」Tシャツ
Tシャツは、弁護士らによる「RAIS(取調べ拒否権を実現する会)」が作成したもの。
RAIS側は、黙秘の意思を示しても取調べ自体が続けられる現状を問題視し、黙秘権を実質的に保障するためには取調べを拒否する権利が必要だと主張している。
本訴訟では、こうしたメッセージを表示したTシャツについて、留置施設の規律・秩序維持を理由に使用を制限することが許されるのかが争われている。
■出典
- 産経新聞 2025年7月1日
- 朝日新聞 2025年10月23日



