■概要
【事件名】国際受刑者移送・違法拘束国家賠償請求訴訟
【裁判所】大阪地裁
【判決日】2026年3月27日
【原告】大阪府東大阪市の男性(64)
【裁判結果】一部認容(国に44万円の賠償命令)
■事件概要
タイでヘロインの営利目的所持などにより禁錮50年の有罪判決を受けた男性が、国際受刑者移送制度に基づいて日本へ移送された後、タイ王室による恩赦で刑期が満了していたにもかかわらず拘束が続いたとして、国に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であった。
大野祐輔裁判長は、国に44万円の支払いを命じた。
■判決
判決によると、男性は1999年にタイで逮捕され、2002年に禁錮50年の刑が確定した。
その後、国際受刑者移送制度により2019年から甲府刑務所に収容された。
タイ王室の恩赦により刑期は短縮され、2020年4月には刑期が満了していたが、男性が実際に釈放されたのは2021年4月30日だった。
大阪地裁は、国がタイ当局から恩赦による刑期短縮の通知を受けた後も拘束を継続した点について違法と判断した。
■争点となった確認義務
男性は、タイでは恩赦による刑期変更が頻繁に行われることから、日本側には刑期変更の有無を確認する義務があったと主張していた。
しかし大野裁判長は、国際受刑者移送制度は移送元の国からの通知を前提とする制度であり、日本側に独自に情報収集して刑期変更を確認する義務はないと判断した。
一方で、タイ側から刑期満了の通知を受けた後については、速やかに釈放手続きを行うべきだったと指摘した。
■違法と認定された期間
判決によると、日本側は2021年3月26日にタイ側から恩赦に関する通知を受領した。
その後、確認作業を終えた同年4月5日の時点で釈放が可能だったにもかかわらず、男性が釈放されたのは4月30日だった。
大阪地裁は、この25日間の身体拘束について違法と認定した。
■今後
男性側は判決を不服として控訴する方針を示している。
法務省は「判決内容を精査し、適切に対応する」とコメントした。
■出典
- 読売新聞

- 産経新聞
- 朝日新聞

■判例
- 令和5(ワ)4966 損害賠償請求事件裁判
- 令和8年3月27日 大阪地方裁判所 第12民事部


