■概要
【事件名】大和川河川敷「タイマン」損害賠償請求訴訟
【裁判所】大阪地裁
【原告】事件当時16歳の男性
【被告】事件当時17歳の元少年
【裁判段階】民事判決
【判決】元少年に5000万円の支払いを命令
【主な争点】原告側の過失の有無、過失相殺、損害額
■判決
大阪地裁(堀部亮一裁判官)は2026年9月29日、大阪市内の大和川堤防で行われた一対一のけんか、いわゆる「タイマン」で重傷を負った男性が、相手の元少年に損害賠償を求めた訴訟で、請求通り5000万円を支払うよう命じた。
男性側もけんかに応じたことを理由とする過失相殺については認めなかった。
男性の母親も400万円余りを請求していたが、認められたのは約10万円だった。
■事件の発端
判決によると、2022年10月、当時16歳の原告男性が友人らと大阪市内のコンビニ付近にいたところ、当時17歳だった元少年との間でトラブルになった。
その後、元少年らが呼んだ当時34歳の知人男性が、一対一で勝負するよう促し、一行は大阪市東住吉区の大和川付近へ移動した。
そこで2人のけんかが始まり、元少年による危険性の高い暴行によって原告男性が重傷を負った。
元少年は事件後、殺人未遂容疑で逮捕され、最終的に少年院送致となった。
■「タイマン」を促した知人男性
判決では、2人が当初から激しいけんかをするつもりだったわけではなかったことも認定された。
一方、現場にいた知人男性が元少年に勝敗を明確につけるよう促したことで、元少年がより激しい暴行に及んだと認定した。
この知人男性については、事件後に教唆したとして刑事責任を問われ、傷害教唆罪で実刑判決を受けている。
■元少年側は過失相殺を主張
民事訴訟で元少年側は、一連の暴行は双方が合意して始めたけんかの中で発生したものであり、被害を受けた原告男性側にも過失があると主張した。
そのため、原告側の過失割合に応じて賠償額を減額する「過失相殺」を行うべきだとして争った。
■大阪地裁「原告側に原因はない」
大阪地裁は、当初は双方とも激しいけんかをする意思はなかったと認定した。
その後、知人男性の発言を受けた元少年が突然、極めて危険性の高い暴行に及んだとして、そのような行為に至った原因が原告男性側にあったとは認めなかった。
このため、「過失相殺をすることは適当でない」と判断した。
■後遺障害による損害を認定
大阪地裁は、原告男性が事件後に精神障害の認定を受け、高校を中退し、その後も十分に就労できない状態が続いていると認定した。
後遺障害によって将来得られなくなった収入にあたる逸失利益や慰謝料などを合わせ、損害額は5900万円を超えると算定。そのうえで、原告男性が請求していた5000万円全額の支払いを元少年に命じた。
■刑事事件から民事訴訟へ
事件は2022年10月に発生し、当時17歳だった元少年は殺人未遂容疑で逮捕された。
その後、元少年は少年院送致となり、けんかを促した知人男性も傷害教唆罪で実刑判決を受けた。
事件から約4年を経た今回の民事判決では、被害を受けた男性が「タイマン」に応じたことを理由に賠償額を減額できるかが争われたが、大阪地裁は過失相殺を否定し、請求額全額の賠償を認めた。
■出典
- 産経新聞 2026年9月30日
- 朝日新聞 2022年10月28日



