■概要
【事件名】英検替え玉受験・近畿大学不正出願事件
【裁判所】大阪地裁
【被告人】野口瑞希(35)
【職業】元塾講師
【罪名】偽計業務妨害など
【裁判段階】判決
【判決】拘禁刑2年・執行猶予4年
【求刑】拘禁刑2年
■判決
大阪地裁は2026年10月1日、教え子になりすまして英検2級を受験し、その成績を近畿大学の入試に不正利用したなどとして、偽計業務妨害などの罪に問われた元塾講師・野口瑞希被告(35)に、拘禁刑2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。
野口被告は8月27日の初公判で「間違いございません」と起訴内容を認めていた。
■事件の概要
野口被告は2025年9月、当時勤務していた「個別教室のトライ」の教え子になりすまして英検2級を受験し、合格。その後、自身と教え子の顔を合成した顔写真などを使い、取得した英検の成績を利用して近畿大学に出願し、大学の業務を妨害したなどとされる。
近畿大学の入試では、大学独自の英語試験と英検の成績のうち有利な方が採用される仕組みで、替え玉受験で取得した英検の成績が採用され、教え子はいったん合格した。
その後、学生証に不正出願時の合成写真が使われていたことを家族が不審に思い、大学に申告したことで発覚。合格は取り消された。
■以前から英検で不正
公判では、今回の替え玉受験以前にも、野口被告が英検の試験官という立場を利用して不正を行っていたことが明らかになった。
関西テレビによると、野口被告は英検の試験官を担当した際、自身が教えていた複数の生徒について、誤った解答を正解に書き換える行為を2、3回程度繰り返したと証言した。
大阪地裁は、こうした過去の行為から今回の替え玉受験、不正出願へと発展した点を重視。「以前から英検の試験官の立場を悪用して解答を書き換えるなどの不正を重ねていた。それをエスカレートさせたもの」と指摘し、野口被告について「規範意識が低い」と評価した。
■動機は「自身の業務を減らすため」
野口被告は公判で、教え子を合格させたいという気持ちに加え、生徒が早く合格して退塾すれば、自身の業務量を減らすことができると考えたと説明していた。
野口被告は当時、長時間勤務などで疲弊していたことも初公判で述べていたが、大阪地裁は、自らの業務負担を減らすために生徒を早く合格させようと不正に及んだ経緯について、「動機、経緯はあまりに身勝手かつ短絡的」と厳しく指摘した。
■不正をエスカレートさせた点を重視
量刑では、単発的な替え玉受験ではなく、それ以前から英検をめぐる不正を繰り返し、最終的に自ら教え子になりすまして受験するまで行為をエスカレートさせた点が不利な事情として考慮された。
さらに、替え玉受験で取得した成績を大学入試に利用するため、教え子との合成写真まで作成して出願しており、英検だけでなく大学入試の公正さにも影響を及ぼす一連の行為となった。
検察側も論告で、「教え子を志望校に合格させるため、手段を選ばず、不正行為をエスカレートさせた」と指摘し、拘禁刑2年を求刑していた。
■反省や謝罪を考慮し執行猶予
一方、大阪地裁は、野口被告が起訴内容を認め、反省し謝罪の意を示していることを有利な事情として考慮した。
弁護側も、本人が深く反省しており再犯のおそれはないとして、執行猶予付きの判決を求めていた。
裁判所は、繰り返された不正や低い規範意識、身勝手で短絡的な動機を厳しく評価しながらも、反省や謝罪などを踏まえ、検察の求刑と同じ拘禁刑2年としたうえで、その刑の執行を4年間猶予した。
■出典
- 読売テレビ 2026年10月1日

- 関西テレビ 2026年10月1日

- ABCニュース 2026年10月1日

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