■概要
【事件名】保護責任者遺棄致死事件
【裁判所】神戸地方裁判所姫路支部
【判決日】2025年5月28日
本件は、重度の呼吸障害がある娘を適切に介護せず自宅に放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親に対する裁判員裁判である。
■事案の概要
被告(33)は、2023年1月27日午後、気道確保のため定期的なたん吸引が必要だった娘(当時8歳)を自宅に残したまま外出し、結果として窒息死させたとされる。
娘は生後2カ月時に元夫からの虐待により脳に障害を負い、以後寝たきりの状態で介護が必要であった。
■争点
本件の主な争点は、
・たん吸引の必要性と危険性の認識の有無
・被告が死亡結果を予見できたか
・介護体制・支援制度の利用状況
などであった。
■判決(神戸地裁姫路支部)
神戸地方裁判所姫路支部 の佐藤洋幸裁判長は、被告が適切な吸引を怠れば死亡する可能性を認識していたと認定した。
その上で、
「怠れば死んでしまいかねないと分かっていたと認めるべき」
と判断し、保護責任者遺棄致死の成立を認めた。
一方で、ショートステイの利用制約などの事情も考慮し、懲役2年8月(求刑懲役4年)を言い渡した。
■総合整理(神戸地裁姫路支部)
本件は、重度障害児の在宅介護における監護義務の履行と、その限界が争点となった事案である。
裁判所は結果責任を認めつつも、介護環境や支援制度の制約を一定程度考慮した量刑判断を示した。
■出典
・神戸新聞


