【大阪高裁】ノンバイナリーの戸籍表記めぐる抗告審 「憲法14条の趣旨に抵触」と判断

■概要

【判決日】2026年5月8日
【裁判所】大阪高等裁判所
【報道日】2026年5月11~12日

性自認が男性・女性のいずれにも当てはまらない「ノンバイナリー」の当事者が、戸籍の続き柄欄にある「長女」という表記を、性別を明示しない記載へ変更するよう求めた家事審判の抗告審で、大阪高等裁判所 は、現行の戸籍制度運用について、

「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に抵触し、是正すべき状態」

と判断した。

一方で、制度変更は国会による立法で整備すべきとし、抗告自体は棄却した。


■事案の内容

申立人は、京都府に本籍を置く50代のノンバイナリー当事者。

出生時は女性として届け出られ、戸籍の続き柄欄には「長女」と記載されていた。

これに対し、

  • 「長子」
  • 「第2子」
  • 「子」

など、性別を明示しない表記への変更を求め、京都家庭裁判所 に申し立てを行った。

しかし申立ては却下され、即時抗告していた。


■大阪高裁の判断

決定は2026年5月8日付。

大阪高等裁判所 の大島雅弘裁判長は、

  • 性自認は人格や存在そのものに関わる
  • 性自認に沿った法的取り扱いは重要な法的利益

であると指摘。

そのうえで、

現在の戸籍制度が、

  • 男女どちらにも当てはまらない性自認を前提としていない
  • 性別表示を変更する制度が存在しない

ことについて、

「LGBT理解増進法の基本理念に反する」

と述べた。

さらに、

「平等原則を定める憲法14条1項の趣旨に抵触するもので是正すべき状態」

と判断した。


■抗告棄却の理由

一方、高裁は、

  • 戸籍制度は社会の基本的インフラ
  • 記載内容は全国一律である必要がある
  • 性別表記変更には制度的枠組み整備が不可欠

と指摘。

そのため、

「具体的な制度整備は国会の立法過程を通じて行われるべき」

として、裁判所による訂正許可は相当ではないと結論づけ、抗告を棄却した。


■今後

代理人の 仲岡しゅん は、

「ノンバイナリーの法的承認への大きな第一歩だ」

と評価する一方、戸籍表記そのものは変更されていないとして、最高裁への特別抗告方針を示している。


■総合整理

本件は、ノンバイナリー当事者による戸籍表記変更申立てをめぐる抗告審である。

大阪高裁は、現行戸籍制度がノンバイナリーの存在を前提としていない点について、憲法14条の平等原則の趣旨に抵触すると踏み込んだ判断を示した。

一方で、具体的制度変更は立法によるべきとして、申立人側の抗告は棄却された。

■出典

・報道機関

戸籍表記の男女区別、大阪高裁が憲法に抵触と判断 抗告は棄却 – 日本経済新聞
性自認が男女どちらでもない「ノンバイナリー」の50代申立人が、戸籍の続柄の表記変更を求めた家事審判の抗告審で大阪高裁は12日までに、男女を区別する戸籍法の運用は「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に抵触し、是正すべき状態にある」と判断した…
ノンバイナリーなのに戸籍は「長女」 高裁「憲法抵触」、抗告は棄却:朝日新聞
男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」の人が、「長女」とある戸籍を性別を明らかにしない記載に変更するよう求めた審判の抗告審で、大阪高裁(大島雅弘裁判長)は、男女以外の記載を認めない戸籍法の…
男女以外の表記認めない戸籍は「憲法14条に抵触」、大阪高裁判断…ノンバイナリー当事者の申し立ては退ける
【読売新聞】 自認する性が男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」の当事者が、性別を明らかにしない表記に戸籍を訂正するよう求めた家事審判の即時抗告審で、大阪高裁(大島雅弘裁判長)は、男女以外の表記を認めない戸籍法の運用は「法
男女以外認めない戸籍表記「憲法14条に抵触」 大阪高裁:時事ドットコム
性自認が男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」の人が、「長女」と記載された戸籍の続き柄を「子」などに改めるよう求めた審判の抗告審で、大阪高裁(大島雅弘裁判長)が、男女以外の記載を認めない戸籍法の運用について、法の下の平等を定める「…
男女以外の表記認めない戸籍法の運用 大阪高裁が「憲法抵触」
自身を男性にも女性にも当てはまらないとする「ノンバイナリー」の当事者が、戸籍の訂正を申し立てた審判で、大阪高等裁判所は現在の戸籍法の運用が「憲法に抵触している」と判断したことがわかりました。自分は男性にも女性にも当てはまらないとする「ノンバ…

■その後の報道

  • 戸籍の「長女」表記変更を、ノンバイナリーが最高裁に特別抗告(2026年5月14日)
戸籍の「長女」表記変更を、ノンバイナリーが最高裁に特別抗告:朝日新聞
男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」の人が、「長女」とある戸籍について性別を明らかにしない記載に変更するよう求めた申し立てをめぐり、抗告を棄却した大阪高裁の決定を不服として14日、最高裁…

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