■概要
【事件名】奈良市立小学校いじめ対応損害賠償請求訴訟
【裁判所】奈良地裁
【原告】奈良市立小学校に通っていた女子児童と両親
【被告】奈良市
【請求内容】慰謝料など約250万円の損害賠償
【裁判段階】判決
【判決】原告側の請求を棄却
■判決
奈良地裁(和田健裁判長)は2026年7月16日、奈良市立小学校でいじめを受けた女子児童と両親が、学校側の対応が不適切だったとして奈良市に慰謝料など約250万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告側の請求を棄却した。
奈良地裁は、担任教諭らについて「職務上の法的義務に違反する行為があったとはいえない」と判断した。
■訴訟の概要
女子児童は2021~2022年、奈良市立小学校で同級生の男子児童からいじめを受けたと訴えていた。
その中で、女子児童が強い苦痛を示す言葉をノートに記したところ、担任教諭がそのページに「花丸」と「You can do it!!」との言葉を記して返却したことなどが問題となった。
女子児童と両親は、担任によるノートへの記載や、学校側の一連のいじめへの対応が不適切だったとして奈良市に損害賠償を求めた。
奈良市側は、教員に法的な義務違反はなかったとして争っていた。
■いじめへの対応について
判決は、女子児童が同級生から被害を受けたとする2回目の訴えについて、その後もいじめが発生することを学校側が予見できる状況だったと認定した。
一方、学校側が聞き取り調査などを実施していたことから、「いじめ発生の回避義務は尽くしていたと評価できる」と判断し、学校側の法的義務違反を認めなかった。
■「花丸」をめぐる奈良地裁の判断
担任教諭は、女子児童から頼まれて花丸を付け、励ます気持ちで言葉を添えたと証言しており、奈良地裁はこの説明を事実として認定した。
そのうえで、ノートへの記載について児童の苦痛を深めかねない趣旨に受け取られる面があるとしつつ、当時の状況などを踏まえ、児童が助けを求める行動を積極的に踏みにじった違法行為だったとは認められないと判断した。
■原告側の反応
判決後、原告側の代理人弁護士は、学校側が法廷で述べた説明が事実として認定されたことに疑問が残るとして、判決に納得できないとの見解を示した。
女子児童の両親も、主張が認められなかったことについて悔しさを表し、今後の対応を弁護団と相談するとコメントした。
■奈良市の反応
仲川げん奈良市長は、市側の主張が認められたとしたうえで、判決で指摘された課題について十分に配慮していくとのコメントを発表した。
■出典
読売新聞 2026年7月17日
ABCニュース 2026年7月16日

■判例(判決文)
- 令和6(ワ)91 国家賠償請求事件
- 令和8年7月16日 奈良地方裁判所 民事部

