■概要
【事件名】元大阪地検検事正・部下女性検事への準強制性交事件
【裁判所】大阪地方裁判所
【裁判長】三輪篤志
【被告人】北川健太郎(67)・元大阪地検検事正
【罪名】準強制性交
【事件発生】2018年9月
【第2回公判】2026年10月27日
【認否】起訴事実を否認、無罪主張
元大阪地検検事正の北川健太郎被告人(67)が、部下だった女性検事に性的暴行を加えたとして準強制性交罪に問われている事件の第2回公判が、2026年10月27日、大阪地裁(三輪篤志裁判長)で開かれた。
2024年10月の初公判では起訴事実を認めていた北川被告人は、約2年ぶりに開かれた公判で一転して否認し、無罪を主張した。
この日は改めて罪状認否が行われ、検察側と弁護側の双方が冒頭陳述を実施した。
検察側は、女性が飲酒の影響や上司・部下の関係によって抵抗することが著しく困難な状態にあったと主張。一方、弁護側は、女性には正常な判断能力があり、性行為に同意していたと反論した。
■事件の概要
起訴状によると、北川被告人は大阪地検検事正だった2018年9月、大阪市内の自身の官舎で、部下の女性検事に性的暴行を加えたとされる。
検察側は、女性が飲酒の影響や検事正と部下という関係によって抵抗することが著しく困難な状態にあり、北川被告人がその状態に乗じて犯行に及んだと主張している。
■第2回公判
2026年10月27日午前10時10分ごろ、大阪地裁の大法廷で第2回公判が始まった。
北川被告人は黒色のスーツに白いシャツ姿で、刑務官に付き添われて入廷した。
2024年10月の初公判以来、約2年ぶりの公判となった。
この日は、改めて罪状認否が行われた後、検察側と弁護側がそれぞれ冒頭陳述を行い、事件当日の女性の状態や性行為への同意をめぐって対立する主張を示した。
公判は午後3時すぎに終了した。
罪状認否
北川被告人は、事件当時に大阪地検検事正だったこと、女性が自身の部下だったこと、女性と性交したことについては認めた。
一方、女性が抵抗できない状態にあったとする点については、「抗拒不能だったことは争います」と述べ、起訴事実を否認した。
弁護人も、女性は性行為に同意していたとして、無罪を主張した。
2024年10月の初公判では、北川被告人は「争うことはしません」と述べ、起訴事実を認めていた。
今回の第2回公判では、初公判での認否を変更し、準強制性交罪の成立を争う姿勢を明確にした。
■検察側の冒頭陳述
検察側は改めて冒頭陳述を行い、事件当日の懇親会から官舎に至るまでの経緯や、女性の飲酒状況などを説明した。
懇親会後の女性の状態
検察側によると、事件当日、北川被告人は大阪市内の飲食店で、部下ら計6人が参加する懇親会に出席していた。
女性は懇親会で多量の酒を飲み、ろれつが回らず、懇親会以降の記憶がないほど酔っていたという。
検察側は、女性が飲酒の影響によって正常な判断や抵抗が困難な状態にあったと主張した。
タクシーへの乗車と官舎への移動
検察側は、懇親会後、酒に酔った女性が乗車したタクシーに北川被告人が強引に乗り込み、自身の官舎へ連れて行ったと指摘した。
女性は飲酒の影響に加え、北川被告人が大阪地検のトップである検事正であり、自身の上司でもあったことから、抵抗することが著しく困難な状態だったと主張した。
官舎での状況
検察側は、女性が官舎での性行為の途中から徐々に意識を取り戻し始めたものの、恐怖を感じて抵抗できなかったと説明した。
また、女性が夫を心配して帰宅したいと伝えたにもかかわらず、北川被告人は応じなかったと主張した。
検察側は、こうした当時の状況を踏まえ、女性が自由な意思で同意できる状態にはなく、北川被告人がその状態に乗じて行為に及んだとしている。
■弁護側の冒頭陳述
弁護側も冒頭陳述を行い、女性が抵抗できない状態だったとする検察側の主張に反論した。
弁護側は、女性には正常な判断能力があり、性行為に同意していたと主張した。
懇親会での女性の行動
弁護側は、女性が懇親会の会計を自ら行っていたことを挙げ、正常な判断能力を失っていなかったと主張した。
検察側が女性の飲酒状況を重視したのに対し、弁護側は、懇親会での具体的な行動から、女性が判断能力を保っていたと説明した。
官舎への移動
弁護側は、女性が官舎に到着した際、自らタクシーを降り、北川被告人の部屋までついて行ったと主張した。
検察側が、北川被告人によって官舎に連れて行かれたと説明したのに対し、弁護側は、女性が自ら行動していた点を強調した。
同意についての認識
弁護側は、女性が性行為に同意していたと主張した。
また、北川被告人は女性が抵抗できない状態にあるとは認識しておらず、同意があると思っていたと説明した。
弁護側は、女性の当時の行動や北川被告人の認識を踏まえ、準強制性交罪は成立しないとして無罪を求めた。
■無罪主張に転じた理由
今回の公判では、北川被告人が初公判で起訴事実を認めながら、その後、無罪主張に転じた理由についても弁護側から説明があった。
初公判では罪を認める方針を選択
弁護側によると、北川被告人は逮捕前の取調べ段階から、女性は抗拒不能の状態ではなく、性行為への同意があったと供述していた。
接見していた弁護士も、初公判では自身の記憶に沿って主張するよう勧めていたという。
しかし、北川被告人は、検察組織や関係者にこれ以上迷惑をかけないため、一日でも早く裁判を終わらせることが重要だと考え、その助言を受け入れなかったと説明した。
北川被告人は、起訴の判断に従うことが検察組織への償いになると考えていたという。
初公判後の心境の変化
弁護側によると、北川被告人は初公判後、被害を訴える女性が検察組織への批判を続けている様子を見て、罪を認める方針が誤っていたのではないかと考えるようになったという。
その後、自身は無実であるとして、起訴事実を争うことを決意したと説明した。
こうした方針転換を受けて弁護人が交代し、2024年12月には無罪主張に転じる意向が公表された。
その後、非公開の期日間整理手続で争点や証拠の整理が進められ、約2年ぶりに公判が再開された。
■今回の公判で示された争点
今回の罪状認否と双方の冒頭陳述では、性交があったこと自体は争われていない。
主な争点として、次の点が示された。
- 女性の飲酒状況と判断能力
女性が飲酒によって抵抗することが著しく困難な状態にあったか。 - 官舎への移動の経緯
女性がどのような状態でタクシーに乗り、官舎へ移動したのか。 - 上司と部下の関係
検事正と部下という立場の違いが、女性の抵抗の困難さにどのように影響したか。 - 性行為への同意と被告人の認識
女性の同意の有無や、北川被告人が女性の状態をどのように認識していたか。
また、北川被告人が初公判で起訴事実を認めた経緯についても、今回、弁護側から説明が示された。
今後の証拠調べでは、双方の主張を裏付ける証言や客観的な証拠がどのように評価されるかが焦点となる。
■これまでの経緯
北川被告人は2024年6月、準強制性交容疑で逮捕された。
同年10月25日の初公判では起訴事実を認め、被害女性に対する反省と謝罪の意向を示した。
しかし、同年12月に弁護側が無罪主張への方針転換を表明した。
その後、期日間整理手続が行われ、2026年10月27日に第2回公判が開かれた。
■被害を訴える女性の動向
被害を訴える女性は、2026年8月に大阪地検を退職した。
女性は検察組織内のハラスメントや性犯罪捜査の改善を求める活動を続けている。
また、PTSDを発症したとして、準強制性交罪に致傷を加えて審理するよう求めている。
2026年10月には、代理人弁護士らと「PTSD致傷認定を望む会」を設立した。
10月27日の公判開始前には、支援者らが大阪地裁正門前に集まり、事件の真相解明と厳罰を求める約15万筆の署名を裁判所に提出した。
女性は被害者参加制度を利用して公判に参加している。
■出典
- 読売新聞 2026年10月27日

- 朝日新聞 2026年10月27日

- 読売テレビ(YTV NEWS NNN)2026年10月27日


- 産経新聞
- 参考各社



■女性の陳述書

■会見の様子


■関連するコラム

■関連する報告書


