■概要
【事件名】大阪市中央区・妻の傷害致死、死体遺棄事件
【裁判所】大阪地方裁判所
【裁判長】辛島明
【被告人】黒木佳史(36)
【罪名】傷害致死、死体遺棄など
【被害者】妻・いずみさん(当時52)
【認否】被告人は黙秘、弁護側は無罪主張
【審理方式】裁判員裁判
【判決日】2026年10月20日
【判決】懲役12年6月
【求刑】懲役12年
2024年5月、大阪市中央区の自宅で妻に暴行を加えて死亡させ、その後、知人の男性と遺体を運んで遺棄したとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた黒木佳史被告人(36)の裁判員裁判で、2026年10月20日、大阪地裁は懲役12年6月の判決を言い渡した。
辛島明裁判長は、知人から遺体の遺棄に関する話を聞いたという証人の供述について、他の証言や客観的証拠と整合しており信用できると判断した。
弁護側は犯罪の立証が不十分だとして無罪を主張していたが、裁判所はこれを退け、検察側の求刑を6月上回る刑を言い渡した。
いずみさんの遺体は現在も発見されていない。
■事件の概要
判決によると、黒木被告人は2024年5月26日ごろ、大阪市中央区の自宅で妻のいずみさんに暴行を加え、死亡させた。
その後、同年6月5日ごろ、知人の男性とともに遺体を車で運び、岡山県内またはその周辺に遺棄した。
いずみさんは行方不明となり、遺体が発見されないまま捜査が進められた。
黒木被告人は公判を通じて黙秘し、弁護側は傷害致死や死体遺棄について十分な立証がないとして無罪を求めていた。
■公判での主な証拠
近隣住民の証言
近隣住民は、事件当時、黒木被告人の自宅から男性の怒鳴り声や女性が助けを求める声を聞いたと証言した。
検察側は、こうした声が約1時間続いていたことなどから、黒木被告人が妻に継続的な暴行を加えていたと主張した。
自宅の状況
黒木被告人の自宅からは多数の血痕が確認された。
検察側は、室内の状況が近隣住民の証言と整合し、激しい暴行があったことを裏付けると主張した。
知人の供述を聞いた証人の証言
検察側の立証では、黒木被告人と遺体の運搬・遺棄に関与したとされる知人男性の発言が重要な証拠となった。
この男性は公判前に死亡していたため、裁判では男性から話を聞いたという複数の知人らが証言した。
証人らは、男性から遺体の運搬や遺棄への関与を打ち明けられたと説明した。
検察側は、これらの証言が客観的証拠とも整合すると主張した。
防犯カメラなどの客観的証拠
捜査では、黒木被告人と知人男性が自宅付近で荷物を車に積み込む様子が防犯カメラに記録されていたと報じられている。
また、遺体の処理に関係するとされる場所から、いずみさんに結びつく物品などが発見されたことも、検察側の立証に用いられた。
■検察側の主張
検察側は、近隣住民の証言や自宅に残された血痕、知人男性の発言を聞いた証人らの供述などから、黒木被告人が妻に暴行を加えて死亡させたことは明らかだと主張した。
また、知人男性と遺体を運び、遺棄した行為について、徹底した証拠隠滅を図った悪質な犯行だと非難した。
論告では、傷害致死と死体遺棄について懲役12年を求刑した。
■弁護側の主張
弁護側は、いずみさんの遺体が発見されておらず、犯罪を直接裏付ける証拠が不十分だとして無罪を主張した。
また、黒木被告人以外の第三者が関与した可能性も指摘した。
黒木被告人は初公判で氏名や起訴内容について問われた際にも答えず、その後の審理でも黙秘を続けた。
■判決
傷害致死罪の成立
大阪地裁は、近隣住民が聞いた声や自宅に残された血痕などから、黒木被告人が妻に暴行を加え、死亡させたと認定した。
裁判所は、いずみさんが危険を感じて助けを求めていたにもかかわらず、黒木被告人が長時間にわたって暴行を続けたと判断した。
死体遺棄罪の成立
裁判所は、遺体の運搬・遺棄に関与したとされる知人男性の発言を聞いた証人の証言について、他の証言や客観的状況と整合しており信用できると判断した。
これらの証拠から、黒木被告人が知人男性とともに遺体を運び、岡山県内または周辺に遺棄したと認定した。
一方、第三者による犯行の可能性を指摘した弁護側の主張については、具体的な根拠に乏しいとして退けた。
■量刑理由
裁判所は、犯行の悪質性や遺体が現在も発見されていないこと、被告人の事件後の態度などを重く評価した。
長時間にわたる暴行
裁判所は、いずみさんが助けを求めていたにもかかわらず、黒木被告人が約1時間にわたり暴行を続けたと認定した。
暴行の態様は執拗で、非常に悪質だと非難した。
遺体の遺棄と隠匿
裁判所は、知人男性とともに遺体を運んで遺棄した行為について、遺体を隠そうとする強い意思が認められると指摘した。
さらに、現在も遺体が発見されていないことを重視し、死者への敬意を著しく欠く行為だと評価した。
反省の態度
裁判所は、黒木被告人が公判で遺族に目を向けることもなく、事件に向き合って反省する態度が見られないと指摘した。
ただし、黙秘していること自体を理由に刑を重くすることはできず、判決が反省の態度をどのような具体的事情から評価したかについては、判決文などで確認する必要がある。
求刑を上回る判決
裁判所は、犯行が特に重大であるとして、検察側の求刑である懲役12年を上回る懲役12年6月を言い渡した。
■判決のポイント
今回の裁判では、被害者の遺体が発見されず、被告人が黙秘を続ける中で、傷害致死と死体遺棄を認定できるかが大きな争点となった。
特に重要だったのは、遺体の遺棄に関与したとされる男性が公判前に死亡しており、男性本人を法廷で尋問できなかった点である。
裁判所は、その男性から話を聞いたという証人の供述を、他の証言や客観的な状況と照らし合わせ、信用できると判断した。
遺体が見つからない事件であっても、証拠を総合することで犯罪事実を認定できることを示した判決となった。
また、検察側の求刑を上回る判決となった点も特徴的である。
■出典
- 朝日新聞 2026年10月20日

- 読売テレビ 2026年10月20日

- 関テレ 2026年10月20日

- MBS 2026年10月20日

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